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TSIM-002
田中さんコラボ 全体まとめ
スパイン内 Na+ 動態シミュレーション研究 — Obsidian ハブノート「田中さんコラボ」+ 43 リンク先の完全集約 (記録日: 2026-05-30)
このノートは何か: Obsidian Vault のハブノート 30__Projects/田中さんコラボ/田中さんコラボ.md 本文と、そこから張られた 43 個のリンク先ノートを、情報を落とさずに一枚に集約した完全版まとめです。研究目的は、樹状突起スパイン内のナトリウム流入と膜電位を Poisson-Nernst-Planck (PNP) 方程式 と Goldman-Hodgkin-Katz (GHK) 電流式 で時空間シミュレーションし、Miyazaki & Ross (2017) の光学イメージング実験を再現すること。
研究のハイライト (論文の売り):
Na+ を使った初のスパイン内シミュレーション
新しい spine neck resistance の計算方法 (イオン流束ベース)
EPSP サイズの推論 (EPSP の時間スケールは約 10 ms)
目次
シミュレーションモデルの構成
計算の流れ
理論と支配方程式 (PNP / GHK / Sejnowski / KCC2 / NMDA)
spine neck resistance — 複数手法と数値
拡散係数 DNa と調査計画
断面積が変わる接合部・分岐点の扱い
ミーティング記録タイムライン
論文の結果セクション (results)
Figure 構成案 (Fig 1–8)
重要な仮説・確認事項
未解決の問題と解決済みの事項
参照論文・外部リンク・集約元ノート
1. シミュレーションモデルの構成
ニューロンを円柱状コンパートメントの連なりとして表現し、PSD → Head → Neck → Dendrite の 4 区画でスパインをモデル化します。各区画で K+ / Na+ / Cl- / Ca2+ のイオン動態 (軸方向拡散 + 膜透過 + Na-K-ATPase ポンプ + KCC2 共輸送体) を解きます。現行の neck/head の分割点数は 6, 6。
Dendrite
0.35 µm (d) × 100 µm, 50 pt
Neck
0.25 × 1.0 µm, 6 pt
Head
0.60 × 0.75 µm, 6 pt
PSD
AMPAR/NMDAR
Na+ influx
Na+ 拡散 (DNa)
図1. 4 区画スパインモデル。PSD の AMPAR/NMDAR から Na+ が流入し (赤)、濃度勾配と電気勾配により Head → Neck → Dendrite へ拡散する (青)。
区画 直径 (µm) 長さ (µm) 点数 Na (mM) 各区画値
PSD 0.00 0.10 1 10.792
Head 0.60 0.75 6 15.969
Neck 0.25 1.00 6 5.176
Dendrite 0.35 100.0 50 5.332 / 16.680
Bill から提供された 2 論文 (Tønnesen, Ofer) の値も候補: spine volume 0.3 µm³, length 0.6 µm, diameter 0.3 µm。Cm は 2 µF/cm² よりむしろ 1 µF/cm²。リークは Qian 論文を参照。
実験の基準値 (takuma data analysis memo)
指標 Peak start → peak peak → half decay
V (膜電位) 51.589 mV 2.080 ms 6.240 ms
Na 濃度 13.586 mM 3.660 ms 8.440 ms
2. 計算の流れ
膜電位 V は ODE の状態変数ではなく、各ステップでイオン濃度から代数的に求める補助変数 として扱うのが本モデルの特徴です (Sejnowski 1989 式)。dt は数値安定性のため通常 2×10⁻⁶ ms。
イオン濃度
C (K,Na,Cl,Ca)
膜電位 V
Sejnowski 式
膜フラックス J
GHK 電流式
濃度更新
+ 軸方向拡散
次のタイムステップ Δt (≈ 2×10⁻⁶ ms)
濃度→V
V→電流
電流→ΔC
図2. 1 タイムステップの計算ループ。① 濃度から V を Sejnowski 式で算出 → ② V を GHK 電流式に代入して膜フラックスを計算 → ③ 膜フラックス + 軸方向の Nernst-Planck 拡散で濃度を更新 → ④ 次ステップへ。
3. 理論と支配方程式
Poisson-Nernst-Planck (PNP) 式
上段 = Nernst-Planck 輸送方程式 (拡散 + 電気ドリフト)、下段 = Poisson 静電方程式 (電荷 → 電位)。両者が相互に駆動力となり、イオン濃度と電場が自己無撞着に進化する。Qian (1989) のモデルを改良し実験的 Na+ 流入データを適用。NEURON のケーブル理論との違いは (1) イオン濃度変化を考慮する点、(2) 濃度拡散に加え電気勾配の影響を加えた点。
Sejnowski 膜電位式 (1989)
電気中性条件とコンデンサ方程式から、V を濃度変化から代数的に計算する。GHK 電流式の前段で濃度から直接 V を決める。
V = Vrest + β · d · ρ · (ΔK + ΔNa − ΔCl + 2 · Ca_buffer · ΔCa)
GHK 電流式
膜電位 V と各イオンの透過性・濃度勾配から膜電流を決定。K+ 流出・Na+ 流入・Cl- 流入の 3 項と、Na-K-ATPase ポンプ・KCC2 トランスポーターの能動輸送で濃度動態を記述。透過率の単位は cm/s。
KCC2 共輸送体
K+ の濃度勾配を動力源に Cl- を 1:1 共輸送する非起電性トランスポーター。細胞内 [Cl-] を低く保つ。
KCC2 = γ · U · ln( [K]o · [Cl]o / ([K]i · [Cl]i) )
NMDAR の電位依存性 (α-synapse 式, 2026-04-30 確定)
INMDA(t) = [ 1 / (1 + k/[Mg²⁺]) ] · exp(−t/0.072) · [ 1 − exp(−t/0.0132) ]
Mg ブロックの電位依存性は係数 k で再現される。
4. spine neck resistance — 複数手法と数値
★ 親ノートの中心トピック。複数の計算法があり、桁が大きく異なるのが論点です。
0
40
80
120
R_neck (MΩ)
~1
GHK 単純
過小評価
73.7
Nernst-Einstein
静的/静止
123
イオン流束積分
rise-phase 加重
図3. spine neck resistance の手法別の値。GHK 単純計算は約 1 MΩ と過小評価。物理的に妥当なのは数十〜百数十 MΩ のオーダー。
(A) Nernst-Einstein 静的法
拡散係数 D → 伝導度 σ を Nernst-Einstein 関係で変換し R = L/(σ·A)。静止時 ≈ 73.7 MΩ (K+ 寄与 95.9%)。ケーブル理論が ρ_axial ≈ 100 Ω·cm を仮定するのに対し、本法は濃度変化に応じて R が動的に変わる。
(B) イオン流束積分法
濃度時間変化 dC/dt からフラックス、電流 I = z·F·V·dC/dt を計算。rise-phase (0.2–1.85 ms) で ∫ΔV(t)dt / ∫I_out(t)dt を取り charge-weighted 平均 ≈ 123 MΩ 。瞬時 V/I の発散を回避する robust な手法。
Svoboda 系の式 (拡散から R を求める, 探索値 = DNa, neck diameter, neck length)
RN = t · π · Dna / Vn (π = 細胞質抵抗)
数値例: Dna = 6.0×10⁻¹⁶, π = 180 Ω, Vn = 0.1 µm³ → RN ≈ 250 Ω 。Vn = 0.25 µm³ → 92 Ω 。
探索パラメータは DNa と neck diameter に絞る (head volume と length は 2017 論文によると寄与が小さいため)。
π は細胞質抵抗であり電気的要素を含む。これを Nernst-Planck 式から導出できるか? が課題 (この式には電気的拡散が含まれていない可能性)。
2 つのアプローチ
DNa から探る (Svoboda) : グラフから適切な rise/decay を見つけて DNa を決め、そこから R を計算。
dV と dI から探る (Popovic) : DNa から求められるので 1 と同じ結果になるか?
参考パラメータ: Harnett (neuron 2017) synaptic conductance = 2–8 nS。Lagache-Yuste 論文 (ヒト由来) spine head diameter 600–300 nm, neck radius 70–40 nm, length 1 µm 固定。
本質: spine neck resistance の本質は、Na+ と K+ の diffusion constant の違いから生じる電荷差に由来する Vm の違いにある。
静止状態での解釈: ネック抵抗は静止状態で約 70 MΩ と計算でき (ネックの形で決まる)、これをどう解釈するか。簡易計算では「AMPA を流れる総電流 (or 平均) と全電圧の平均」で R を計算する方針。少なくとも neck での電圧降下は小さい。
オームの法則が成り立たない理由: 現実の電流はイオンの移動であり光速より遅いため、電位変化に対し電流変化に delay が生じる。したがって瞬時 dV/dI でオームの法則を適用すると破綻する (Yuste 論文と一致)。ケーブル理論で算出される抵抗とは異なる。
5. 拡散係数 DNa と調査計画
文献値: 軸索では Na 3.3×10⁻⁶ cm²/s (Mondragão & Rose 2016)。Miyazaki & Ross (2017) からの概算では dendrite で Na 3.05×10⁻⁶ (5 µm) / 2.7×10⁻⁶ (2 µm)、平均 2.875×10⁻⁶ (※計算式が ChatGPT 由来のためチェック要)。Rose 論文の DNa もチェック対象。
標準データの decay: decay = 20 ms (2026-03-28-10-37 の run) / decay = 17 ms。モデルは 17 ms に合わせて調整、基準は平均の 20 ms に合わせてシミュレーション。SBFI でも 20%。
モデルの含意: 濃度拡散 + 電気ドリフトの新モデルでは DNa の影響が小さい。そこで DNa を変えて拡散だけで計算した場合に 2017 論文のように大きく影響が出るかをチェックする (ネック抵抗が拡散主体かを検証)。neck DNa を 0 にすると Na は移動しないはず (PC で要確認)。
パラメータ調査チェックリスト
パラメータ 担当環境 状況
head diameter PC 調査済
neck diameter Mac 調査済
neck length PC 調査済
dendrite diameter Mac 調査済
DNa Mac 調査済
DNa (neck のみ) — 調査済
Psyn PC 調査済
conc only (DNa Head) — 予定/検討
6. 断面積が変わる接合部・分岐点の扱い
分岐点に限らず、断面積が変わるところで問題が発生しうる。濃度勾配・電位勾配に比例する流れが断面で発生するが、物質量は断面積にも比例する。断面積が変わっている所では、太い方から見ても細い方から見ても濃度勾配・電位勾配は同じだが、断面積は太い方からすると大きく細い方からすると小さいため、二つのセグメントの流入・流出量を足しても 0 にならない (保存則が崩れる)。
そこで、太さの違うセグメント間の断面積はその平均をとる という決まりにしている (sigma = 接続セグメント間の平均断面積)。分岐点になるとこれがさらにややこしくなる。dendrite が二股に分かれる場合の濃度保存が不自然になる問題は継続課題で、接合部では平均/調和平均 rho の使用が推奨されている。
7. ミーティング記録タイムライン
Bill Takuma 田中 / 合同 本日
— 2024-10-27 〜 2026-04-30 の打合せ記録を時系列で集約。
2024-10-27 Bill データセット整理 (70127A101-103, 10501-10502 等)。rise time 8 ms 未達問題を認識。difference image のインターバル固定でピーク吸収が変化。spine 内イオン濃度の距離依存を検証予定。
2024-10-30 Takuma 記録は空 (ノート未記入)。
2025-02-24 Takuma Bill と background 修正・解析。rise time が早い問題は解像度由来で解決。パラメータ変化時の Na 変動は Psyn 調整で 10 mM 固定を検討 (Psyn は変えても OK、実験データ合致を優先)。
2025-03-11 Takuma head 6 / neck 4 分割で値が安定化。dendrite 接合部の接続 (neck 側/dendrite 側) で変化なし。MICrONS データから spine geometry 確認可能に。neck 単独 DNa 変更は実装可だが意味・現実性に疑問。
2025-03-12 Takuma + Bill 区画分割後も V rise/decay はほぼ不変 → EPSP 時間応答は spine 形状に非依存。spine 大 → 振幅大 (PSD 大 = 大入力 + Na 振幅減少)。実験 Na 濃度に sim を合わせる。neck length/diameter 0.12 の計算進行中。
2025-04-04 Takuma dendritic branches 時の濃度保存がおかしい問題を指摘・確認依頼。neck DNa は一定の方が良い (論文値と比較中)。二股チェック済み。わかったことの List 化と電気拡散項の検討予定。
2025-09-15 Takuma イオン移動は光速でないためオームの法則が不成立 → 瞬時 dV/dI でなく AMPA 総電流と平均電位で spine neck resistance を簡易計算する方針に転換。Discussion で R の存在意義自体を問う。neck の電圧降下は小さい傾向。
2025-09-23 Bill PSyn は透過率なので気にしなくて OK。PSD 長さの影響を検討。dendrite Na 比率検討中だが実験ノイズ大。元モデルで試験 → 変化なし。電流注入時の clamp 項移動を検討 (マイナス値問題)。Ca2+ 応答マイナス化の原因を調査中。
2025-10-22 Takuma neck DNa は問題あり / diameter は問題なし。time constant は Cm 不足が原因か (head/neck に Cm あるが dendrite に不足)。R は Na/K の差分計算 (Qian も同問題)。V-clamp -120/-65 V 条件。Na peak の 50 ms 後処理 + 200 ms へ延長検討。
2025-11-18 Takuma dendrite の Na 比率がデンドライト段長に依存する問題を検証。time step 短縮で不変を確認後に compartment 長を変更予定。spine neck 電流測定法 (g_electrode パラメータ) を検討。膜電位収束で終了する設計に変更。
2025-11-25 Bill スライド送付・動画出力法 (△ボタン/more から mp4/avi) を教示。rise/half decay の測定法を指導 (Bill との測定法差異を確認)。spine 大きさによらず V rise/decay はほぼ不変。peak 11 mM 固定は DNa 変更が鍵 → DNa × geometry 組合せ探索を開始。
2025-12-17 田中 コードチェック。neck diffusion constant (DNa) を neck のみで変更可能かを確認・実装検討。
2026-01-06 Bill head 6 / neck 4 で安定。接合部位置で変化なし。MICrONS geometry から実 spine 形状取得 (無作為 5 個 + 大サイズ 5 個で計算検討)。「neck 径が太い → decay が早い」という直感に反する結果を指摘。
2026-01-21 Takuma dendrite 二股分岐の濃度保存は不自然 (プログラム確認依頼)。neck DNa 一定が良い (拡散係数と論文比較中)。electrodiffusion あり/なしの sim 比較を開始。
2026-02-11 Bill PSyn 透過率なので気にしなくて OK。dendrite Na 比率検討中 (実験ノイズ大、2017 比較困難)。元モデル再試験 → K+ が電気補正しないため Na/Vm バランスに問題。Ca2+ マイナス化原因 (V-clamp 設定・バッファ不足) を調査中。
2026-02-26 Takuma rho が断面積 sigma と体積の両方に適用され相殺している問題を分析。修正案: sigma から rho を外し拡散係数側で実装、接合部は平均/調和平均 rho。→ dendrite 内拡散遅延と Na の neck:dendrite 比が適正化される見込み。
2026-04-24 田中 + Bill spine neck DNa は全体に影響 (DN が問題)。diameter は問題なし。Cm 10 倍で遅延確認 → Cm 不足が time constant の原因。R は K 減少分の補正が必要 (他 compartment での増分と差分)。Na peak が 50 ms 後も高値 → Na/K ポンプ必要・200 ms+ 推奨。 →
この日のプレゼン要約 (TSIM-003)
2026-04-30 Bill NMDA の α-synapse 式を確定 (第 3 節参照)。bAP 再現は全 compartment に Pfun を組込み、NMDA コンダクタンス 0 + AMPA で VGSC を代用。K leak channel (PK_rest) 調整法もあるが煩雑。
2026-05-30 本日 Obsidian ハブノート「田中さんコラボ」+ 43 リンク先を集約し、本完全版まとめ HTML (TSIM-002) を作成・記録。条件依存性の感度分析レポート (TSIM-001) も本トピックに公開済み。
8. 論文の結果セクション (results)
1. Na+ influx and membrane potential made by PNP equation and GHK equation
2017 年の論文の実験から Na+ の kinetics を PNP/GHK 式でシミュレーション。2017 年の NEURON シミュレーションとの違いは大きく二つ: (1) NEURON はケーブル理論ベースでイオン濃度変化を考慮しない、(2) 濃度拡散に加え電気勾配の影響を加えた。これにより各 compartment の正確な Na+ 濃度変化 (PNP) と膜電位変化 (GHK) を予測できる。パラメータ (DNa, head volume, neck diameter, neck length, dendrite diameter) を調節して 2017 年実験に fit。fit するのは比較的大きいサイズの spine → 光学測定では計測 spine の選択に bias がかかっていると考えられる。
2. Effects to Na+ kinetics changed by the spine and the dendrite geometry
各パラメータ変化時の Na+ rise time / decay time への影響を提示。EPSP のサイズには大きく関わるが rise/decay time にはあまり影響がない 。これは LTP などの可塑性で spine size が大きくなっても時間的 kinetics があまり変わらないことを意味する。
3. spine neck resistance
シミュレーション結果による spine head と dendrite の電位差を計算し、シナプスに流れ込む電流量から spine neck resistance を計算。各パラメータ変化による R の変化を提示。
議論の導入: spine head のような小さい区画では電流だけでなく濃度が重要 → Nernst-Planck 式が必要となる。EPSP の時間の議論は約 10 ms。
9. Figure 構成案 (Fig 1–8)
Fig 内容
1 AMPARs が Na+ の主な流入経路。EPSP 前後を APV で比較 = 両方とも APV で減らない (EPSP も減らない)。
2 2017 年論文の Fig から Na の拡散、2022 年論文から decay の分布。
3 simulation model — モデル図とパラメータ。
4 Na+ and Voltage kinetics on spines and dendrites。 A: 実験データに合わせた Na+ response / B: Na+ 拡散定数 (DNa) の効果 (neck だけの DNa 比較を示すべきか? 距離による拡散比率が変わるか?) / C: simulation による Voltage response (neck resistance は大きくなさそう、イオン移動を電流とすると時間ズレで計算がおかしくなるため流入量と電位で計算)。
5 head_V, neck diameter, neck length, dendrite length の比較グラフ。2017 年論文と比較。濃度オンリーにした時のグラフも付ける。
6 MICrONS データからの実際の形に似た sim。
7 MICrONS データからのランダムなスパイン取得と、大きめのスパインからの取得の分布。
8 2024 年の論文と比較。
最後の Fig に Na, Ca, EPSP, uEPSP の手書きモデル図。Fig 実験結果から Ca や Na の decay はポンプや拡散によるもの → sim では NMDA からのゆっくりした成分を考えなくてよい。グラフは NMDA をまとめる。
10. 重要な仮説・確認事項
主要仮説: NMDA spike による Na+ の高濃度が、他のスパインの Na+ influx を阻害して脱分極効率を下げることがあるか? シミュレーションで解析可能か?
mice vs rats: 今回のデータは mice だが 2017 のデータは rats。これが (dendrite Na の) 20% と 10% の違いに関係している可能性。
Kovalchuk/Konnerth の実験条件: Mg 濃度 1 mM, Ca 2 mM。sim および 2017 論文は Mg 2 mM。彼らの条件でどこまで NMDA の役割が上がるか。
Na influx 5 mM の妥当性: Na influx 濃度 5 mM は本当かをチェック。Qian の K 濃度とも比較。
デコンボリューションでチェック / レストの平均チェック。
Cm: 2 µF/cm² より 1 µF/cm² の方が妥当か。
Na in = 0 と Normal の 2 パターン: パッチ内液に Na を入れていなかったことの影響を確認。
bAP を見立てた全体での Na 上昇: bAP 再現は Pfun を全 compartment に組込めば使える。NMDA コンダクタンスを 0 にして AMPA で VGSC を再現。
dendrite の rho をチェック (rho を割っているのであまり意味がない?)。
オリジナルモデルと比較。
11. 未解決の問題と解決済みの事項
未解決・要検討
spine neck R の不一致: 1 Psyn から GHK 式で計算 = 約 1 MΩ (低い) vs イオンの移動から電流を計算 = 約 70 MΩ (リーズナブル)。
実験では dendrite の Na が半分以上あるが sim では 10–20% に減少。dendrite が二股に分かれているので sim の方が現実的だが、なぜ実験測定で 40% 近くあるのか?
rho の問題: 断面積 sigma の rho と体積の rho の両方にかかっており割ってしまうので効果がない。直径を rho の分引くと表面積がおかしくなる。
dz の長さも平均化しているので接続コンパートメントは 2 つ必要か? (計算が遅くなるだけ)
dendrite points 50 → 100: time step を短くして変わらないことをまず確認、その後コンパートメント長を変える。
time step 5 倍チェック (2 倍は既にクリア): 区画を 1 µm にして 1/10 の time step でも同じかチェック。
bAP: AMPA を VGSC 代用にすると VGKC (K チャネル) 不在ですぐ Na 平衡電位に達し流入が止まり 0.4 mM 以上に上がらない。Rose 論文のように 5 mM 以上に上げたい。
解決済み
NMDAR の電位依存性は α-synapse 式の k で再現。
濃度拡散 + 電気ドリフトの新モデルでは DNa の影響が小。濃度拡散のみだと Vm が一瞬とんでもなくマイナスになり、その後大きく正に振れる (最初に Na が大量流入、K が流出、DK が大きい K が隣 compartment から来るのが遅いため)。
Vm が長くなった原因 = 静止膜電位が低すぎ。-85 → -65 mV に変更 (-70 mV で 10 ms 幅で OK)。
dt が短くなった原因 = neckpoint。connector を入れると 1 ms 以下ほど速くなる (問題なし)。
Mac PC で同じ計算結果。
Psyn は 0.00607 (Qian) より大きくなるが、total Na influx は PSD 面積依存なので問題なし。
Ca がマイナスになる原因: 現在 Ca2+ ポンプはコメントアウト。それでもマイナスになるのは電位感受性 Ca2+ チャネルが入っていないため。
NMDA の効果は全くなし。-120 mV の V-clamp 下では Na 増加量は Vm に比べ小さい。
Na peak が 11 mM に安定しないが、上下は decay/rise にあまり関係しないので無視。
12. 参照論文・外部リンク・集約元ノート
主な参照論文: Miyazaki & Ross (2017, 2022)、Qian & Sejnowski (1989)、Harnett (2017, synaptic conductance 2–8 nS)、Lagache & Yuste、Tønnesen、Ofer、Mondragão & Rose (2016)、Kovalchuk/Konnerth、Rose、Feldmeyer。reference ノートには AMPA/NMDA 受容体の非飽和性、静止時 Na 濃度の資料も。
外部リンク (ハブノートより): Google Docs (原稿ドラフト)、Google Slides (プレゼン)。埋め込み画像: formula.jpg (数式図)。
理論・手法ノート (14)
膜電位計算 / GHK電流式 / PNP式 sim / ポアソン・ネルンストプランク式
simのフロー / KCC2 / Diffusion coefficient (Fick 則で D 逆算, Python 例)
spine neck resistance - tanaka_sim / spine neck resistance from ion flux / 変動R
bAP analysis (EK ≈ -106 mV, τ ≈ 0.75–1 s, 完全回復 2–4 秒) / Na Sim draft / reference / インストール (Visual Studio C/C++ + gekko)
記録・まとめ・old (29)
Bill / Takuma / 田中 の日付別ミーティング記録 19 件 (上記タイムライン)
takuma data analysis memo (実験基準値)
田中さんコラボまとめ / data analysis for simulation paper / Micronsからの引用 (CC BY 4.0, 引用ルール) / 田中さんの他の研究 (ナノスケール接触割合, 細胞内外比 80/20%)
田中sim 問題点old / 疑問点old (tauAMPA 未使用, Psyn 出典 等) / tree (辞書定義: diam/length/Psyn/rho/Vclamp/gelectrode) / Tips (resume 機能, 266 フィールド DB)
未作成・空のリンク: Scale_J (該当なし)、Takuma 2024-10-30 (空)、data analysis for simulation paper (データ ID 70127A101-103 / 10501-503 のみ)、優位展リスト (空)。